見本市に行こう!!

見本市に行こう!!

一悶着ありました

東京国際アニメフェアと東京都が振りまいた問題

産業の中心として開催される見本市というものが、その期間だけでも世界規模で業界の中心となるため、経済効果は計り知れない。そうなると国はもちろん、コンベンションセンターを建設している街としても精力的に活性化していこうと思うものだ。利益が絡んでくるとやはり人間何かしらの欲や利権などといったことも絡み合ってくる。底が商売というものなので仕方ないのかもしれないが、そうした問題とはまた別に、そもそもの産業の根底を揺るがす問題がここ数年東京都にて展開されている。

知っている人もいると思うが、商業作品として取引されている漫画などにおいて用いられる猥褻な表現に対しての規制を行う『有害図書指定』を、東京都が本格的に条例として取り入れる姿勢を示した。もちろんだがそれに対して各企業からは反発の声が上り、その中には業界最大手となる企業が率先して争う姿勢を見せるなどして混乱を極めた。そうした中でも、やはり毎年恒例となっている見本市が開催されることになる。特に日本の漫画・アニメ産業は世界でもダントツとも言えるトップレベルの技術と評価を勝ち得ており、海外にも日本で輩出された漫画作品をこよなく読み親しんでいる人も多い。

世界としても日本で製作された作品の先端とも言える技術などを取り入れた作品などを発表する場としての見本意図も開催されていた。現在は様々な騒動の中でイベントそのものはこのまま継続して開催されるものの、それまで日本の漫画・アニメ作品産業の最新情報をお披露目する場として機能していたのは、件の東京都が主催者として開いていた『東京国際アニメフェア』だ。この見本市もまた、日本のみならず海外ユーザーから注目を浴びていた見本市となっている。

そもそも開催したのは当時の都知事だった

この東京国際アニメフェアという見本市を誰が開催しようと提案したのかだが、それは当時の首相であり、現在で政務活動に復帰したことで色々とやっている『石原慎太郎』氏だ。この人が東京国際アニメフェアを開催しようと発言した当人であり、そして後に東京都青少年育成条例の改正を断行した本人でもある。複雑なところだが、何だかんだでこうした開催によって東京都としては毎年経済効果を産業にもたらしてきた恩恵もあり、そして業界全体に悪影響を及ぼしかねる事態を引き起こしたという二面性を感じさせる。こうした石原氏の行動に対しては各企業、そして有名作家などらが決起して反抗声明を挙げるなどして、一悶着が起きたものだ。現在では既に改正されてしまったために、これはさすがに如何だろうとする作品への規制が執り行われてしまったため、どうにもならない。ただそうした状況に黙っていなかったのが、この東京国際アニメフェアに参加していた企業たちだ。

実際、この見本市は初期こそ出展した企業数はそれほど多いわけではないものの、開催初年度の2002年には出展企業104社に対して、開催期間3日間で『50,163人』という来場者を招いた。数字だけ見るとさほど多いとは言えないものの、この時はまだ漫画やアニメがさほどフィーチャーされていなかった時期でもあったことも影響している。この頃秋葉原というものも海外の人々が多数訪れているとする、外国人が一度は訪れてみたい観光地としての地位もまだ明確に形成されている時期でもない。そういったことも含めて考えれば、見本市としてはまずまずといったところだろう。

その後の開催状況と来場者数は年月を経る毎に上昇傾向となる。こちらも少し興味深い開催年度をピックアップして紹介していこう。

回数 来場者数 出展企業数
第3回 72,773人 166社
第4回 83,996人 197社
第6回 107,713人 270社
第7回 126,622人 289社
第9回 132,492人 244社
第11回 105,855人 223社

こうしてみると、年度毎に増えて行っている事が理解できるだろう。面白いのが出展企業数がこれまで開催していた年度と来場者数がつりあっているわけではないということだ。6回目と7回目はそれぞれ出展企業数と来場者数の最高値をそれぞれ記録しているわけだが、企業が多く出展していればそれだけ来場者数も増えるわけではない事が証明された。それはつまり、商業としての面で営業が行われているかどうか、という部分にも影響しているのかもしれない。企業が多ければチャンスもあると考えられるが、その中に優良とする案件が存在していなければ訪れても成果を挙げることはできない。

単純に見本市の数字としてみれば開催してから順当に来場者数を増やしていったことを考えれば、成功しているといえなくもない。ただそれはあくまで訪れた人が楽しめる、というモノであって商業的な意味合いで商談を積み上げられたかどうかという話とはまた別物だ。

影響はさほどないと見ている人もいるが、そういう問題ではない

ただ東京都が起こした行動で業界で緊迫した状況が継続したという事実を否定する事はできない。そうした中で主要とも言える企業が東京国際アニメフェアの不参加を表明し、さらに別の見本市を開催することを発表するなどの行動を起こし、石原氏がそんな事をする企業は来なければ良いとする発言をした。ただその後開催を予定していた2011年には東日本大震災が発生したために、東京国際アニメフェアも、後述で詳しく記載するが『アニメジャパンエキスポ』も同時開催中止になる。その際にも石原氏は開催中止になったことで侮蔑の言葉をメディアで発言するなど、言動が気になるところを示したが、筆者から言わせれば彼の行動は全く気にするべき問題ではない、というよりそもそも石原氏が招いたのは業界全体に亀裂を齎しかねない事態を招いたことを糾弾すべきだ。

東京国際アニメフェアに参加を継続する企業の中には大手企業もいる、だがそういった企業ばかりではない中小企業も参加していることを考えると、今後その他の大手と取引した際に何かしら確執を生み出しかねない事態を呼び込み、産業界の二極化を招いてしまうのではと思った。そういった商業的な部分が表に出ることはないにしても、どこかしらで東京国際アニメフェアに参加したことを快く思っていない人々もいるに違いない。守らなければいけないルールが存在している事は認める、だがそこに個人としての発言で全てを台無しするような発言をしているようでは説得力の欠片もない。東京国際アニメフェアという確固たる経済効果を失うことになったことは、東京都としても誤算だったのではないだろうか。